北の光を辿る犬


|草履|
たぬきがおでんを囲んでいるところに迷い込んでしまいました
鬼火にじりじり付き纏われていて困っているんだ
たぬきたちはじっと首を傾げて言いました
僕らには鬼火がついているのが見えないなあ
でもずっと焼かれていて熱い 伴侶を踏んづけても猫又を踏んづけても熱い
たぬきたちはそうかそうかと頷いて、まあ大根でもお食べと差し出しました
からしは無いんだ悪いね
いやいいんだ・・おや美味しいね こんな美味しいものは久しぶりに食べたよ
あらまあじゃあ卵もお食べ
ありがとう ありがとう 草履のなかに伴侶と猫又がいてね歩くたびに踏んでしまうんだ それで鬼火がとりついて罰を当てているんだよ
まあちょっと落ち着きたまえよ 草履を見せてごらん
なるほどこれは 違う草履を編んであげるよ
そんなことまでしてもらったらどうお礼をしていいのか
そうだねそれはゆくゆく考えよう ほらできた
よかったこれで踏まずに歩ける
鼻緒の具合を試しておいで
そうしよう
少し歩いてみるとまるでよく知っているように足にぴったりで
ありがとう
振り返ったらたぬきも鍋もなにも無く
暗い木立のうえには天の川がふんわり光っていました