北の光を辿る犬


|こん|
こんこんこん、真っ暗こん
御きつねさまが空を嗅ぐ
北には甘い風がある

こんこんこん、真っ暗こん
御きつねさまが崖に座す
ゆるんだ岩の辛清水

子犬が通りかかって御きつねさまに尋ねます
どうして僕の飼い主はいつも恐れているのでしょう
それは私たちみたいに夜目がきかないから
どうして僕の飼い主はいつもこっそり泣くのでしょう
それは私たちみたいに聞こえなければ、いのちの違いもわからないから

カバが耳であしらいました
子犬なぞに複雑なことはわかるまい
ゾウが鼻を振りまわしました
子犬なぞに人の社会はわかるまい

こんこんこん、真っ暗こん
御きつねさまが尾を立てる
朱色の鳥居にひとりの子犬