|灯台守|
薄紫と灰色と、それから金色
がさがさ浪氷が砕けている
灯台が燈った
あなたが毎晩運んでくるちいさな炎は途切れないでいる
髄まで凍るみぞれの夜に
霜が残ったままの夕暮れに
漕いで歩く極夜ごっこに
ぽこぽこ燃える
それで聖なる炎と呼ぶのかしら
肉を劈き心臓のいそぎんちゃくが蠢く宵に
鬱鬱そぼ降る汚泥のお盆に
疲弊した腹が腕まで這いあがって涼む夕立に
望みの潰えた岩礁は淵がひかりをうけとって
さらさら燃える
それで勇気の炎と呼ぶのかしら
汚れた指がひび割れている
吐く息は濁っている
視神経は黴だらけだ
片っぽ角を切り取られた羊のよだれが飛び散っている此処を
曲がり階段の一足ごとに清めていく
ぽろぽろ燃える
それで天を照らすこともできるけれど
あなたは此方に渡してくれる