北の光を辿る犬


|洞の火|
暖炉に薪を焚べる
吹雪が止んだらくじらのしっぽを見に行くんだ
北極熊の足跡を踏み
最高級の羽毛をくれるカモの小屋をちらりと覗いて
白く包まれた森をつっきり
最速の渦潮でくるくるまわる
そこからシャチの背にお邪魔したあと
暖流を遡ろうかと迷ったけれど
イートリはやっぱりやめた
寝ているくじらを起こさないように
垂直でお辞儀をして帰った
玄関前でイッカクたちが芸術とはなにか、と話し込んでいたから
裏口にまわる
キッチンにはグヴズルンがいて玉ねぎを比べていた
おかえり
なにかいいことあった?
こっちはまあまあかな
シチューだね一緒に作ろう
いいね、根菜、葉っぱにきのこ
ちょうどいいくらい食べたら
手を繋いで眠ろう

うーん寝付けない
じゃあお話ししよう

滝の裏の洞にずーっと燃えている炎がある
たまに燻ってしまうのだけれど気づくとまた燃えている
ごうごう燃える炎もあるけれど
それはどちらがいいではないのだけれど
絶やさないことが大事なのかも

グヴズルンが火傷に耐えて育てた炎はイートリの目印になる
いつもありがとう
お礼を言うとグヴズルンは曖昧に笑った