北の光を辿る犬


|系譜|
貴女がちらりと見せた胸のうち
五臓六腑のその奥の
腰椎に咲いている昔話を
わたしはきっと知っている
星の数ほどあるお話のなかのひとつ、
わたしの脊椎に根を下ろし
そっと咲いているあの花と
もとを辿ればおなじ香りがする
それともまさか違うんだろうか
まったくよその道すじで来て
そっくりなことになったのだろうか
古のあのお話は語り継がれるうちに
百の結末、千の物語へと分岐していった
痕跡を嗅ぎ分けたと思うのは
わたしのただの願いなのかもしれない