北の光を辿る犬


|廻りの鐘|
ここにはいろんなかたちの鋳型があります
それぞれ職人さんが丹精に作った置き土産です
炉で溶かした熱々を流し込み
時間をかけて冷まして型を外し、グヴズルンが整えます
やっと正体が何だかわかりかけ
できたものを並べていくとパターンが見えてきます
熱心に研究しているのです
こっちとあっちは似ているようで違います
イートリは書きつけるのに一生懸命で
グヴズルンの研究のほんとうに大事なところは
あとで読み返して気がつきます
周期的にこの鋳型で作った研究をぶち壊しにくる者どもが現れます
暴力で粉々にされたとしても
また作り直します
グヴズルンはおおきな時間のなかのともすれば埋没してしまいそうな
けれど決して途絶えない希望を胸にきらりと秘めている
本たちをベッドに隠したイートリはひとりでまどろんでいたのですが
帰ってきたグヴズルンが囁いたから、孤独ではないことを思い出し
ぱちりと目を覚まします