|ちぐはぐの翼|
カーモスには手に入れた物の都合よいところを見て満足する癖があると、シェラーグは知っています
だからシェラーグの、ちぐはぐな背中を見てもカーモスは嬉しそうに微笑むばかり
片方はあほうどりの羽、もう片方はホタルの薄羽
写真うつりが悪いったらないのに
お得お得、君らしいねと何度も肯いているのです
ちぐはぐのおかげで君は僕から飛び去ってしまったりしない
心配なく日々を過ごせる
そう言ってもらってたしかに間違いは無いけれど、
シェラーグはすっきりと優雅な翼があったとしても
誇りにかけてカーモスを二度と置き去りにしたりはしないと決めています
だから見た目もいいほうがいいだろうとおもうのです
こんな歩くのも不便な背格好では釣り合わないのではと恐ろしくなりますが
手を引いて歩くのも粋なものだねとカーモスが足どりを弾ませるので
なんだかどうでもよくなってくるのです
あほうどりの羽は重いしホタルの薄羽は寒い
片翼にだけ風を受けて、ふらつく足元が憎らしい
それでも、カーモスの隣に立つのなら正々堂々と歩いていたいのです
他人の言葉で価値観を揺るがせたりしない、その意思の強さが好きなんだとカーモスは熱弁をふるいます
魔法使いだったころから今も含めて、ぴんと伸ばしたその背筋がいいのだと腕を振って強調します
そんなふうに言われてシェラーグは、では少しは魔法のない自分にも価値があるのだろうかと思案するはめになるのです
カーモスの癖のせいだとしても、やっぱり自分はカーモスの役に立てるようになりたいと
てのひらを胸に押し当てました
ちゃんと伴侶だと言ってもらっているのだから
ふさわしくありたい
シェラーグは羽をぱたぱた揺らして考えます
言うまでも無く、勇者の背には純白の翼が生えています
雷を纏わせて、束ね、竜となる伝説の翼です
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